ぱんつの視界

見えたこと、匂ったこと、触ったことを、ぽつぽつと。

逃げ出し方

若い頃、あんまりディープじゃないタイプのバックパッカーだった。
ディープじゃないなりに、地図を持たなくても歩き回れるいくつかの街、遊びに行けば泊めてくれる何人かの友だちを旅行中に得ることができた。

そんな時期に、坂本龍一のインタビューかなんかで、海外に一人、二人でいいから本当の友だちをつくっておけと言っているのを読んだ。お互いに自分の国に住めなくなったときの逃げ先にせよ、という意味合いだったと思う。

「あの人のところなら、逃げたときに泊めてくれるそうだな」
「あの人ならしばらく住んでもいいって言ってくれるかも。あの部屋使ってな」
「自分なら、あの人は泊めてもいいけど、この人は無理かな」
「この人がうちに住むとなると、客間ないからリビングにシュラフか?」

なんて想像をしては楽しんでいた。なんかお泊まり会みたい感覚だった。
逃げ方情報にもすごく興味があって、インドや中東の女性が身に付けているたくさんのゴールドのブレスレッドやバングルは、アクセサリーとして国外に持ち出しやすく、逃げた先で小分けに換金できる動産の意味もあるなんて記事を読んで、マジでゴールド(18Kでなくて絶対24K!)のブレスレッドを買おうと思ったくらいだ。財力なくて実現できなかったけど。

でも、2001.9.11のとき、エルサレムにいて、アメリカでこうならもう逃げる場所なんてないんじゃね?と思えて、「逃げる」という行為への興味を失った。

 

それが昨今、「逃げる」にまた目が向き始めた。
食べて応援派なんで、福島原発事故で移住とか国外脱出とか全然頭に浮かばなかったけど、立憲主義を知らない政治家とか、天賦人権が前提になっていない立法府とかに恐ろしさを感じることが増えてきて、怖くなってきていた。

去年の選挙のときに、ポリタスで國分功一郎さんという人が書いていた、焦燥感というか、なんとも落ち着かない感じにすごく共感できた。

【総選挙2014】亡命はなぜ難しいのか? | 「総選挙」から考える日本の未来


で、昨日。
国会で三原じゅん子が「八紘一宇」演説をして、それを国会内で誰もとがめず、たしなめずだったことに戦慄し、にわかに逃げ熱が再燃した。かなりめらめらと。
同じ思いの人、いるだろうか。

かつて集めた逃げ方情報は古いから、もう一度収集をやり直して、このブログを備忘録代わりにして残しておこう。

 


で、今日はとりあえず、お金を貯めてゴールドのブレスレットを買うってことだけ決意した。アマゾンで検索してみたけど、イスタンブールのグランドバザールで見たようなのはないな…。
くっそ〜、安かった若いときに無理してでも買っておくべきだったよ…。

田中貴金属工業株式会社│年次金価格推移